朽ち果てしアイリスの薗(13)

クリスマス、皆さんは何か素敵なことがありましたか？
ユトは父上から風邪を頂きました（笑
か、体痛い・・・・喉痛い・・・鼻水ずるずる・・・・頭痛い・・・・。
くそジジイめっ！！（睨

あ、イイコト発見☆
お客さんがいっぱい来てくれた！！（カウンターの廻りがすごいことに・・・）
ありがとうございます（平伏


えー、気を取り直して。
「朽ち果てしアイリスの薗」続きです。
あとちょっとですね。がんばります。
では、どうぞ。


私信
＞澪月さん
コメントのお返事２回分溜まっていますね・・・。すいません（土下座
ナル麻衣は、最初はかなり余所余所しいと思うんですが、一度境界線を越えると、ものすごいことになりそうな気がします（笑
そ、そこまで書けるのだろうか私・・・・（汗
とりあえず、私が砂糖吐きすぎで体内の糖分がなくなるまでがんばります（どんなだ

裏庭の湖。






かつての、アイリスの薗。






そこが彼らの、最後の舞台。















その日の昼間は、機材の最終調整をした後、皆で仮眠を取った。

あたしはまた、夢を見た。






でも、いつもの夢じゃない。






夢の中で、フェリシアとエリックが笑いあっていた。
幸せそうに、嬉しそうに。
暖かな空気が、彼らを包んでいた。

アイリスの香りが、仄かに香った。

白いアイリスの花に包まれて、二人は本当に、幸せそうだった。















夜の10時。
あたしたちは、裏庭の湖の傍にいた。
過去の調査によると、この時間帯がもっともフェリシアが出やすいとのことだった。
カメラの設置も準備万端。
もしものために、ぼーさんとジョンはそれぞれの除霊道具を持ってスタンバイしている。

できれば、ぼーさんたちの手を使いたくない・・・・。

あたしとナル、真砂子、綾子は機材の傍。
安原さんとまどかさんは、館の中からこちらを覗っている。


「リン。」


リンさんは、湖の傍に立っている。
手には、昼間に製作したエリックの人形。
これで、エリックを呼び出すのだ。


「準備は。」

「いつでも。」













その時、あたしの背筋を、氷塊が滑り降りた。













「・・・・・ナル、来たよ。」


余計な思考は不要。
あたしの勘が、フェリシアの到来を告げる。

全員が湖に目を向ける。
同時に、白いドレスが踊った。


「フェリシア・・・・。」


フェリシアはいつものように、辺りを見回す。
そしてまたいつもと同じように叫ぶ。


『ジーン・・・・っ！！』


ナルの声が飛んだ。


「リンっ！！」


その声と同時に、リンさんが人形を投げる。
それは空中で形を変え、やがて一人の青年の姿となった。


『・・・・フェリシア・・・・。』


青い貴族の服を着た、エリック。
彼らが生きていた時代の、ロミオの衣装。


『・・・・やっと、来たのね・・・？』

『・・・・うん。待たせてごめん。』

『・・・・いいわ、もう。』


二人は湖の傍で手を取り合う。
互いに見つめあい、どちらからともなく互いの額をくっつけ合う。


『フェリシア。』

『ジーン。』


エリックが、フェリシアに優しくキスをする。
額、瞼、耳、頬、そして唇。



・・・・・う、わぁ・・・・っ・・・・・



彼らの生きていた時代は普通だったのだろう。
が、現代に生きる、それも日本人のあたしには、少々免疫がない。
目を覆ったあたしを、ナルが「見ていろ」と叱責する。

・・・・・・・さすが英国紳士サマ、経験値が違いますねっ。

そんなあたしたちをよそに、二人はキスを繰り返す。
エリックは最後にフェリシアの手のひらにキスをした。


『・・・・・最終幕、僕と一緒に、演じてくれる・・・？』

『もちろんよ。』


フェリシアはエリックに笑いかけた。





あたしが夢の中で視た、幸せそうな笑顔で。

『そのために、私はずっと、あなたを待っていたのよ。ジーン。』










手を取り合う。





あたしたちが見守る中、彼らは向かい合う。














最終幕が、始まった。













朽ち果てしアイリスの薗　　    最後の幕
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さあ、共に演じよう。約束の、秘密の最終幕を。