朽ち果てしアイリスの薗(12)

年賀状、とりあえず文章まとまってよかった・・・（汗
なかなか文章が収まらなくて苦労しました・・・。
ギャグです。
届いた人が、楽しんでくれることを祈ってます。

「朽ち果てしアイリスの薗」続き。
本編にあんまり関係ない内容になってしまった・・・。
砂糖吐き注意。勇気のある方はどうぞ。

私信
＞澪月さん
かぼちゃ食べました。ゆず湯はさすがにしなかった・・・。
エリックは天然で甘い台詞をさらりと吐きます（そんなキャラの予定ではなかった
まぁ、昔の人ということで。現代の人とは価値観が違うんです。
ナルはむっつりスケベなんです（オイ

湖のほうへ歩いていく麻衣を、ナルが無言で追いかける。
追いかけようとしたぼーさんをナルは手で制する。
付いて来るなという視線を残し、その場を去った。















麻衣は、湖の傍に佇んでいた。


















「麻衣。」


声がして、あたしは振り返る。
追いかけてきたらしいナルが、あたしの背後に立っていた。


「・・・・・フェリシアが浄化したら、ジーンは解放される。」

「うん。」


ジーンを助けてあげられる。
嬉しい筈なのに、素直に喜べない。


「・・・・ここにね、白いアイリスの花が咲いていたの。」


ここは一面美しいアイリスの薗だった。
フェリシアとエリックの想い出の場所。


「フェリシアはね、ここで、エリックに告白したんだよ。」

「！？」


夢で見た。
この場所への強い執着心。
それは、ここがエリックとの約束の場所だからだけではない。
フェリシアにとって、エリックとの想い出がたくさん詰まった場所なのだ。


「フェリシアにとって、只のお芝居だった『ロミオとジュリエット』が、本当になったんだよ。」

「麻衣。」


ナルの手があたしの頭を撫でる。


「フェリシアにとって、ジュリエットの愛は、フェリシアからエリックへの愛と同じだった。」


涙があふれる。止まらない。
こんな悲しい想いが本当にあっただなんて。


「ジュリエットと同じ。エリックが全てだったんだ。」


ナルがあたしの横まで歩いてくる。
あたしの体を優しく抱きしめる。
あたしはナルの胸に頭を預ける。


「・・・・だから、ジュリエットと同じように、エリックの後を追ったの。」

「・・・？」

「フランクリン家から使いが来てね、『エリックは死んだ』って言われたんだよ。」

「・・・・そうか。」

「うん。そうなんだ。」


静かに、あたしは涙を流す。
ナルの綺麗な白い手が、あたしの涙をぬぐう。


「・・・・ね、ナル。」

「なんだ。」

「・・・急に、いなくならないでね。」

「・・・・・。」

「黙って、イギリスに帰ったりしないで。エリックみたいに、消えたりしないで。」

「・・・・ああ。」

「あたしはきっと、フェリシアみたいに後を追うことはできない。」

「追うな。」

「ナルもね。」

「当然だ。」

「言うと思った。」


泣きながら笑うあたしの頭を、ナルは静かに撫でてくれた。
そして、あたしの額に優しくキスをする。
次いで、目。
涙を拭うように、何度も、何度も。


「泣くな。」

「・・・・・・・うん。」


諭すように、ナルは言う。

「僕はいなくならない。消えたりしない。」

「うん。」


ナルのぬくもり。
ナルの声。
いつも、傍で感じているモノ。


「信じてるね、ナル。」


泣き笑いで見上げたあたしに、ナルは優しく微笑んでくれた。
こういうナルの顔、きっとあたししか知らない。
くすぐったい嬉しさがある。


「信じろ。」

「うん。」


どちらからともなく、互いの顔が近づく。
唇に触れるぬくもり。

誓約の、キス。

はじめは啄ばむ様に。

次は深く。

あたしの心を落ち着けるように。















フェリシアとエリック。













結ばれなかった、悲しい恋人たち。














彼らの分まで幸せになろうね。




そういって笑ったあたしに、ナルは返事の代わりに再びあたしの唇をふさいだ。

















朽ち果てしアイリスの薗　　    ジュリエットの愛
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あなたのいない世界で、生きることは、できないわ。