朽ち果てしアイリスの薗(14)

体調最悪なユトです。
皆さんも風邪には気をつけてください。
根性でパソコン触ってます（寝てろ


「朽ち果てしアイリスの薗」続き。
行くぜおりゃぁぁぁっ！！（風邪のためテンション☆ハイ


私信
＞澪月さん
いや、はじめの予定ではエリックはこんなに甘くなかったんですが。
一応英国紳士。しかもナルよりは女性に甘いはず。
そう考えたら、こんなに甘くなったんですよっ！！
角砂糖、私にも装填して下さい・・・・。
糖分糖分・・・・。

主役は二人。




観客は、あたしたち。













白い世界。
視線の先に、愛しい人の姿があった。


『・・・・・ロミオがいるということは、ここは死後の世界なのかしら？』


声をかけると、彼は振り返る。
驚きに満ちた表情で、私を見つめ返す。


『・・・・・ジュリエット、来てしまったのかい・・・・・？』

『あなたのいない世界で、生きることはできそうになかったの。』

『・・・・残酷だね。』

『あなたのせいよ。』


ともに近づき、抱きしめ合う。


『あなたが、誓いを破るからよ。』

『うん、ごめん。』


笑いあう。
悲しい結末だったはずなのに、今、こうして会えたことが、うれしい。


『ねぇ、ロミオ。』

『なんだい、ジュリエット。』






『誓いを、覚えている・・・・？』






『もちろん。』














手を取り合って、見つめ合う。














『生きるときも・・・・・・』





『死ぬときも・・・・・・・』






『永遠に・・・・・』






『二人は共にある・・・・・。』













やわらかい笑みと共に、啄ばむように唇に触れたぬくもり。
ああ、なんて、幸せ。




『行こうか、ジュリエット。僕らが共にいられる、そんな世界へ。』

『ええ。行きましょう・・・・・。』














あたしの目から、涙があふれた。

なんて、素敵なハッピーエンドだろう。




しばらくして、フェリシアが口を開いた。


『ねぇ、ジーン。』

『何？』














『さっきの誓いは、ロミオのもの？それとも・・・・・』


『僕の誓いだよ、フェリシア。』














フェリシアを遮るように、エリックは告げた。


『遅くなって、本当にごめん。』

『ジーン・・・・っ・・・』

『僕らも行こう。二人が共にいられる世界へ。』


こくりと頷いたフェリシアを抱きしめ、エリックは上を見上げた。
彼らの姿が、だんだんと薄れてくる。




朝日が、昇り始めたのだ。

満月の晩の舞台は、終わり。






「・・・・あっ・・・」


真砂子が、声を上げる。
あたしは、声を上げることもできなかった。













湖の傍一面に、白いアイリスが咲いたのだ。



これが、彼らの秘密の場所の風景。







今は朽ち果ててなくなってしまった、アイリスの薗。














白い花びらが舞い上がる。

まるで、天に吸い込まれていくように。





そして、花びらと共に、エリックとフェリシアも、天に昇っていった。





あたしが最後に視た彼らは、夢と同じように、幸せそうに笑っていた。














「最高の、ハッピーエンドだよ、ね・・・・？」

「ええ、そうですわね。」


真砂子とてを取り合って、あたしは彼らを見送った。
ナルの機械的な声が飛ぶ。


「撤収する。」


調査の終わりを告げた。















最終幕は終わった。


悲しいお話は、もう終わり。




そして、新しい幕が上がる。













幸せな物語が、始まる。














朽ち果てたアイリスの薗に、その足跡を残して。














朽ち果てしアイリスの薗　　    　白いアイリスの花
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最高のハッピーエンドを、ありがとう。