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早く帰ってパソコンパソコン年賀状年賀状・・・・・と一人悶々としていました。
あと1/3でこの話も終わるんですねぇ。
早かったような気もしますが、長かったような気もします・・・。
てなわけでドンと来い。
「朽ち果てしアイリスの薗」続きから行ってらっしゃいませ☆
私信
>澪月さん
指摘ありがとうございます!!なんておっちょこちょいなんだ私!!
あ、穴があったら入りたい気持ちでいっぱいです・・・・。
フェリシアとエリックの恋がどう決着するのか、楽しみにしていてください。
がんばって考えます(オイコラ
麻衣の悲鳴を聞いたと同時に、ナルは部屋を飛び出した。
「麻衣っ!!」
ナルの声が聞こえて、あたしは顔を上げた。
ベースの入り口に少し息を切らせたナルが立っている。
あたしはその姿を見て、すごく安心した。
「なにがあったんだ?」
尋ねるナルを見上げながら、あたしは尋ねた。
「・・・・・・ナル、サイコメトリしたんでしょう・・・・・?」
その一言で、十分なはずだった。
ナルには、伝わる。
案の定、ナルは少し目を見張っただけで、すぐにもとの表情に戻ってしまった。
「見たのか。」
「うん。たぶん、ジーンの力じゃなくて、ナルとのパスが繋がってる。だから、余計にリアルで、ちょっと・・・・。」
怖かった。本当に死ぬんだと思った。
俯いたあたしの頭を、なるがゆっくりと胸に抱え込んだ。
ナルの鼓動が聞こえる。
・・・・・・・・・・・・・・すごく、落ち着く・・・・・・・。
「大丈夫か?」
「・・・・・・・・・うん、もう大丈夫。ありがと。」
えへへ、と笑ったあたしの額を、ナルが軽くはじいた。
「『エリック・フランクリン』の調べがつきましたよ。」
ナルからの電話を受け、すぐに調べに入った安原さんが資料を抱えてベースに駆け込んできた。
大量の資料をひとまず机に置き、大まかな情報をまとめたものをナルに手渡す。
「結論から行きますと、所長と谷山さんが視たとおりですね。エリック・フランクリンはロンドンの郊外に邸を構える、フランクリン伯爵のご子息だったそうです。」
エリック・フランクリンは伯爵の長男に生まれ、厳しい教育をされ育ってきた。
フランクリン家は歴史もそれなりであり、エリックの父、ハワード・フランクリン氏は歴代当主の中でも、かなり厳しい人だった。
エリックには、文武両道、眉美麗目、常に完璧であるようにと教育していた。
しかしながら、彼の思惑に反して、エリックは演劇に興味を持った。
ハワードにとってはもちろん許しがたいことであった。次の議会にはエリックを連れて行き、それなりの身分の女性と引き合わせ結婚させ、フランクリン家を継がすつもりだったからである。
しかし彼は言うことを聞かず、家を飛び出し、『ジーン・アトウッド』という名前で役者となった。
そしてフェリシアと出会い、運命的な恋に落ちた。
彼は自分の身分を隠し、フェリシアと共に演劇を続け、楽しい日々を送っていた。
しかし、エリックを探し続けていたハワードによって、エリックは連れ戻された。
エリックの長年の不在と、フランクリン家の歴史に押しつぶされて、そのとき既にハワードの精神はおかしかった。狂っていたのだ。
「――――家に連れて行かれたエリックに、ハワードは当主になれと告げるが、エリックはこれを拒否します。もともと精神がやんでいたこともあり、エリックの言葉が引き金となって、ハワードはエリックを射殺。その後、次男にフランクリン家の当主の座を譲り、エリックの死から一年経った1898年に、彼は自宅で首を吊って自殺しています。」
あたしは口元を覆った。
何という悲劇だろう。
安原さんの説明はまだ続いた。
「しかし、ハワードの代から少しずつ壊れてきていたんでしょう。その後フランクリン家は1946年で途絶えています。」
報告は以上です、と安原さんは頭を下げた。
「・・・・・・そうですか。」
エリックは殺された。自分の父親の手によって。
フェリシアと離れ離れにされた上に、そのまますぐに殺されてしまったのだ。
あまりにも哀しすぎる。
「・・・・・・フェリシアが『ロミオとジュリエット』にこだわる理由って、自分とエリックの恋も身分違いだっただけじゃなくて、離れ離れで死んでしまったからなのかな・・・・?」
あたしの目から涙があふれる。
同情しすぎだといわれても、止まらないものは止まらない。
「そうかもしれないな。」
「後は『最終幕』っていうのが問題ね。」
ナルが見つけたエリックの台本。
しかし、そこに書かれていたのも、今使っている台本と変わらない最終幕だった。
そこで、安原さんが口を挟んだ。
「あの、もう一つ報告があるんですが。というか、僕が疑問に思ったことを聞いてみただけなんですけど。」
「なんですか?」
ナルが先を促して、安原さんは続けた。
「この劇場に到着したとき、原さんが甘い花の匂いを感じた、とおっしゃったじゃないですか。」
安原さんは真砂子を振り返った。真砂子は頷く。
「ええ。確かにそう言いましたけど・・・・気のせいだったのかもしれませんわよ?」
安原さんは今度はあたしを振り返った。
「谷山さんも白いイメージが浮かんだんですよね?それから何度か夢で白い花びらを見ている。」
「う、うん・・・。」
安原さんはナルに歩み寄り、新しい資料を手渡した。
「谷山さんの夢に現れるってことは、事件と関係があるのかもしれないと思って、調べてしました。イギリスでこの時期に白い花を咲かせる植物はいくつかヒットしました。で、この劇場にも関係していると思い、現在ロンドンに住んでいる、前のオーナーの所へ行ってきました。」
「わざわざロンドンまで行ったのか!?」
「フランクリン家の資料を集める目的もあったんで、一石二鳥ってやつですv」
・・・・・・・さ、さすがは安原さん・・・・。
「前のオーナーによれば、この裏庭には一つの植物が植えてあったそうです。なんでも、フェリシアの自殺の後、誰も気味悪がって近寄らなかったため、30年ほど前に全部枯れてしまったそうなんですが。」
「・・・・・・その植物とは?」
ナルの問いに、安原さんは一枚の写真を取り出しあたしたちに見せるように掲げながら、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「・・・・・アイリス。白いアイリスだそうです。」
白い、アイリスの花。
ふいに、夢で視たフェリシアとエリックが引き離された部屋を思い出す。
部屋の隅に、花瓶があった。
中には、白い花が生けられていた。
白い、アイリスの花だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・きっと、白いアイリスは、フェリシアへ繋がる新たな鍵なのだ。
朽ち果てしアイリスの薗 白い花の名前
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あなたとの淡い恋の象徴の、花。

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