朽ち果てしアイリスの薗(6)

「朽ち果てしアイリスの薗」続きです。
自分がちゃんと書けているのか不安になってきた・・・・（汗

続きからどうぞ。


私信。
＞澪月様
甘々目指してがんばってみました（苦笑
我々ナル麻衣ファンは、彼らのあまりのバカップルさを目撃して、馬に蹴られて死ぬ運命なんです（ォィ
無自覚バカップルな我がサイトのナル麻衣を末永くよろしくお願いします（土下座

あたしはベースで全員そろったところで夢の報告をした。
話し終わった後で、ナルが息をついた。


「あの馬鹿・・・・。面倒なことを・・・・。」


他人が聞けば兄をただ罵倒しているとしか聞こえない言葉だ。






でも、あたしは見逃さなかった。
















あたしからジーンが無事だと聞いて、息をついたナルを。



















「じゃ、僕と森さんはちょっくら調べてきます☆」


あたしの話を聞いた後、安原さんとまどかさんは迅速に部屋を出て行った。
二人の摑んでくる情報が、今何よりも重要な鍵になる。
それまでは動けない。


「で、とりあえず俺らはどうするかね？ナルちゃん。」

「そうだな・・・・。とりあえず昨日の記録を解析して・・・・・。」





その時。











「キャ―――――――――ッ！！！！！！！」













「今の悲鳴は！？」

「舞台のほうからだ！！」


あたしたちはベースを飛び出して、舞台へと向かった。






舞台に辿り着くと、ちょうど稽古の真っ最中だったのか、何人もの人が台本を手に舞台に立っていた。
が、練習なら声を張り上げているはずなのに、全員一人の女性をと遠巻きに見ていた。
あたしはちょうど舞台袖にいた女性に話しかける。


『何かあったんですか？』

『またっ！！女性の霊がっ！！』


あたしはとっさに舞台を見る。その中央に一人の女性が立っていた。
身体が透き通っている。赤い髪の毛と白いドレス。
・・・・・・・・・・間違いない、フェリシアだ。


「ぼーさん！！」


ナルが呼びかけるのとほぼ同時に、フェリシアに向けてぼーさんが印を結んだ。
が、唐突にフェリシアが掻き消える。
ぼーさんは途中までしか印を結んでいなかったのだから、除霊されたわけではないはずだ。
あたしはきょろきょろと回りを見て、ふと視界の端に動く影を捉えた。


「・・・・・？」


見れば、一人の若い女性が立ち上がっていた。台本を持って、フラフラと舞台中央へ進んでいく。
フェリシアの霊を見たショックが抜けていないのかもしれない。あまりにも怪しい足取りにあたしが声をかけようとしたそのときだった。








「・・・・・・・・ジーン・・・・・・。」









はっとしてその女性を見る。
台本を持ち、舞台中央に立っている女性の姿があたしの目に映る。
その姿が、夢の中のフェリシアと重なった。


「ナルっ！！あの女性が憑依されています！！」


後で真砂子がナルに声をかける。
ナルはすぐさま命令を下した。


「ジョン！！」


名前を呼ばれるまえに、ジョンは聖水を取り出していた。
後ろにいた綾子を振り返る。


「松崎さん。すんませんですけど、彼女の動きを止めてもらえまへんか？」

「わかったわ。」


綾子の七縛によって、女性の動きが止まる。ジョンが聖水を掲げ、聖書を読み始めた。


「――――――――イン・プリンシピオ・・・・・。」


ジョンのお祈りが終わると同時に、舞台中央の女性は崩れ落ちた。
あたしは駆け寄ってその身体を支える。


「どうだ？ジョン。」

「落とすことはできましたけど、浄化までは・・・・・。すんませんです。」

「そうか・・・・。」


ナルは考え込むような仕草をした。あたしはその女性の身体を他の役者の人に任せて立ち上がる。
ふと、その女性のそばに落ちている台本が目に入った。














『Romeo and Juliet』














・・・・・・フェリシアが演じていた劇だ。
それを眺めてたあたしに気づいたのか、ナルがこちらにやってきた。


「どうした？」

「・・・・・ナル、これ。」


あたしはその台本をナルに差し出す。ナルは受け取って目を見開いた。
そして騒ぎを聞きつけてやってきていたオーナーに尋ねる。


『今はこの劇をやっているんですか？』

『ええ、そうです。この時期に毎年この劇場ではロミオとジュリエットを演じるんですよ。伝統なんです。』

『それはいつからですか？』

『この劇場が建設されたときからだと聞いています。』

『いつ頃この劇場は建設されたんですか？』

『1800年代後半のはずですが。』


つまり、フェリシアが死んだのはこの時期だ。だから、毎年この時期に出てくるんだ。
これでひとつ、つながった。


『どうして、この時期に？』

『さぁ？理由は聞いたことがありません。』

『そうですか。この台本はお借りしても？』

『かまいません。』

『ありがとうございます。』


ナルはあたしの元に戻ってくると、あたしに台本を渡して、そのままベースに引き返した。
なんとなく、あたしは台本を見た。

 

ずいぶんと古い・・・・・。



もしかしたら、ずっと使われ続けてきた台本なのかもしれない。














もしかしたら、








フェリシアが使った台本かもしれない。
















あたしは台本を握る手に力をこめた。
















朽ち果てしアイリスの薗　    古い台本
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淡い思い出の、証。